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フォンタン手術について① その歴史と術式の変遷を中心に
2008 / 01 / 03 ( Thu )
あけましておめでとうございます!
今年も頑張りましょう!

けんちゃんは現在、1歳4ヶ月。
最近、生えかけの歯がたくさん。まとめて8本ぐらいが少し見えてきた状態。
それと、指差しができるようになった。
食べたいものがあると「えっほ」と言って指を指す。
言葉は「えっほー」と「あい!」だけ。
はいはいしているときや、機嫌のいいとき、何か訴えているとき、あらゆる場面で「えっほー」と言う。
この言葉のビヨーな抑揚だけで全てが済むところがスゴイ(笑)
お名前を呼んだり、「おっぱい飲みたい?」と聞くと「あい!」とお返事をしてくれる。
それと、前々から薄々そうなんじゃないかとは思っていたけど、最近確信した。
けんちゃんはどうやら左利きのようだ。

今年はいよいよフォンタン手術(まだ日程は未定・・・)
ここ1ヶ月ほど、フォンタン手術に関してあれこれ調べていて
とりあえず、自分の頭を整理する意味でもここにまとめておきます。
第一弾はフォンタン手術の歴史と変遷を中心に。
(これから先も、わかったことがあればその都度、この記事に加筆・修正を加えると思います)


通常の循環では、全身をめぐって炭酸ガスをたくさん含んだ静脈血は
上・下大静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺

というルートを辿って、酸素化される。
フォンタン手術は、右心房・右心室を介さずに上下大静脈を直接肺動脈につないでしまう手術。
だから「右心バイパス手術」とも言われている。
これにより静脈血と動脈血が心臓内で混ざり合うことがなくなりチアノーゼがなくなるというもの。
通常、体循環と肺循環は並列接続であるのに対し、フォンタン循環は体循環と肺循環が直列接続になる。
(このあたりのことは、言葉だけで説明してもわかりにくいと思うので、各施設のHPの図説を見るとよくわかると思います)

なぜ「心内修復手術」を行わないのかって?
「心内修復」とは、開いている穴を塞いだり、狭いところを広げたり、つながっていないところをつなげたりして、本来の心臓の形に戻してあげること。
それができないからです。
先天性心疾患の中でも特に重症の部類に入る、左心低形成・三尖弁閉鎖・右室低形成・単心室症などは、どんなに優秀な外科チームがどんなに頑張ってくれても、現代医学では心内修復が不可能または無理矢理心内修復をしても良好なQOLが得られないとされているのです。

先天性心疾患の中には「心内修復手術が可能で根治できるか、それともフォンタンになってしまうか・・・」というビミョーな症状もあるようだけど、けんちゃんの場合は単心室&単心房&肺動脈閉鎖。
自然歴(何も治療を施さない状態)での1年生存率は限りなくゼロに近い重症心疾患。
フォンタン手術以外の選択肢はない。
フォンタン適応となる疾患で心房中隔がきちんとある場合は、わざわざ穴を開けないといけないんだけど、けんちゃんは単心房なのでその必要なし。
まさにフォンタン手術にうってつけな心臓!(なんだそりゃ)
でも、このフォンタン手術が登場するまでは助けようのない病気だったから、Dr.Francis Fontan に感謝しなくてはならない。

そうです、この医師の名前をとって「フォンタン手術」という名称なのです。
この術式が最初に発表されたのが1971年。
1968年に当時12歳の三尖弁閉鎖症の男児にこの手術を施して術後の経過も良好であるという報告がはじまり。
その後、このフォンタン手術が適用される症状の範囲が広がり、さまざまな術式の改良が加えられながら今に至る。

といっても、一番最初に臨床例を発表したのがDr.Fontan であったというだけで、右心バイパスの研究自体は1940年代後半から世界各地で行われていたらしい。
南米ではDr.Fontan の論文が発表される前に右心バイパスを成功させた医師がいて、現在でもブラジルやアルゼンチンではフォンタン手術のことをその医師の名前をとって「Kreutzer手術」とか「Fontan-Kreutzer手術」と言っている(らしい)

古典的なフォンタン手術は、肺動脈を左右に分断して上大静脈からの血流を右肺へ・下大静脈からの血流は左肺へと流すという方法だった。
現在のように、シャント手術(またはバンディング手術)→グレン手術→フォンタン手術という段階を踏むのではなく、いきなりフォンタンとかシャントのあとフォンタンという方式だった。
その後、あみ出されたフォンタン手術変法(Modified Fontan)は
APC(Atrio-Pulmonary Cnnection)と呼ばれるもので、右心房(Atrio)と肺動脈(Pulmonary)を直接つないで左右の心房の間を仕切るという点では原法と同じだが、肺動脈を分断せずに上下大静脈流を右心房を介在させて左右の肺動脈に流す方法となった。
右心房を介在させることで少しでも心臓のポンプの力を借りようという形式だったが、この方法だと右心房に負担がかかりすぎて術後10年ほどで右心房が肥大して心房性不整脈をはじめとする様々な合併症がかなり高い確率で発生することがわかってきた。

右心室を利用するBjörk法(RA-RVconnection 右心房-右心室間に経路を作る方法)というのもあったらしいが、こちらも遠隔期に高率で不整脈が発生することがわかり、現在は行われていない。

その後の研究で「右心房のポンプとしての役割は必須ではない」ということになり、現在のフォンタン手術の主流は「TCPC」と呼ばれるもの。
TCPCとは total Cavo-Pulmonary Connection の略。
静脈(Cavo)と肺動脈(Pulmonary)を直接つなぐ方法。
両大静脈肺動脈吻合手術。
APCに比べて、手術時間が少なくて済む・心臓を止めずに手術できる・術後遠隔期の不整脈の発生が少ないという利点がある。

TCPCにもさらに種類があって、LT型とEX型、そしてフェネストレーション型っていうのもある。

LT型とは「ラテラルトンネル型(lateral tunnel)」の略で、「心房内トンネル法」「心房内隔壁作成法」「側方トンネル法」「de Leval法 」とも呼ばれている。
自己心膜やパッチを用いて右心房をトンネル状にし、右心房内に人工血管を通すやり方と自己組織のみを使用するやり方があるらしい。

EX型とは「心外導管法(Extracardiac conduit)」の略。
「EC法」と略す病院もある。
心臓(cardiac)の外側(Extra)に人工血管=導管(conduit)を置くやり方。
現在ではほとんどの病院がTCPC-EX型を採用している。

「フェネストレーション型」とは、「穴あきフォンタン」とか「開窓式フォンタン」とも言われている方法。
1990年にDr.Bridgesらによって発表された。
右心房へ血流の一部を逃がす方法で、これを施すことにより肺に圧がかかりすぎずに済む。
ただしチアノーゼは残る。
心臓の外側に置いた人工血管にさらに細い人工血管をつけ(4ミリ程度)右心房へつなぐ方法と、心臓の外側に置いた人工血管と右心房にそれぞれ穴を開けて直接その部分を縫い合わせる方法がある。
フェネストレーションは時間の経過とともに自然閉鎖することも多い。

術式の改良や、間にグレン手術をはさんで段階的に治療をすすめていくことにより、初期の成績が20~50%の死亡率だったフォンタン手術が、現在では成績のよい病院における急性期(術後1~2週間)の死亡率が1~2%と飛躍的に向上した。

最近では、人工血管にかわり本人の骨髄細胞を用いた「再生血管」の研究が進み、臨床応用も始まっている。
再生血管のメリットは
・人工血管のように劣化せずより長い耐久性が期待できる
・異物の残存がないため、抗凝固療法が不要
・自己組織のため成長が期待できる
TCPCで人工血管にかわり再生血管を使用するのが当たり前になる日が近い将来くるのかもしれませんね。


【年表】
・1949年 Dr.Rodbardらが、犬を用いた右心バイパス手術が成功したと発表
・1968年 Dr.Fontanらによる三尖弁閉鎖症に対する右心バイパス手術を実施
・1971年 Dr.Fontanが右心バイパス手術が成功したと発表
・1972年 フォンタン手術の変法が発表される(APC)
・1988年 TCPC(ラテラルトンネル法)が発表される
・1990年 Dr.Bridgesらがフェネストレーション型TCPCを発表
・1990年 心外導管法が発表される
・1998年 国立循環器病センターのチームがオフポンプでのTCPCを発表


参考文献
(英文です)
http://mmcts.ctsnetjournals.org/cgi/content/full/2007/1018/mmcts.2006.002394

これは日本語 
http://www.jhf.or.jp/shinzo/mth/images/History-38-11.pdf
(7~8ページあたり)
※全国心臓病の子どもを守る会発行の会報誌『心臓をまもる』第526号(2008年1月号)の「座談会」にも同じ内容が掲載されています


『心臓を守る』第485号(2004年8月号)全国心臓病の子どもを守る会
「医療講座(70)フォンタン手術」麻生俊英

再生血管について
http://www.jc-angiology.org/journal/pdf/2006/165.pdf



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コメント
--おめでとう!!--

あけましておめでとう!!
今年も、てんさんのブログで、たくさんお勉強できそうです^^
今年もがんばりましょう!!
by: choraぼん * 2008/01/04 17:33 * URL [ 編集 ] | page top
--No title--

>choraぼんさんへ
あけましておめでとう\(^0^)/
11月からずっと、英文の参考文献の翻訳をしてました。
ダンナに「おまえは学生か!?」とか言われながら(笑)
今年も頑張って勉強するっす。
お互い頑張ろうね♪
by: ?? * 2008/01/05 00:47 * URL [ 編集 ] | page top
--No title--

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

我が家の三女、シャント術後の経過が思わしくなくてICUを出るのに1ヶ月かかってしまいました…(>_<)
1/21に再度カテをして、グレン術に踏み切れるかどうか検査します。生後4ヶ月で体重3.5?なので、厳しいとも言われていますが…親としては気持ちばかり焦ってしまいますが、焦ってもいい事ないですよね…

けんちゃんも今年はフォンタンが目前にせまっていますね!栄養をたっぷりつけて手術に望めますように…☆
by: ??? * 2008/01/05 10:35 * URL [ 編集 ] | page top
-->イズミさんへ--

あけましておめでとうございます!
そうですか~、1ヶ月もICUにいたんですね><
イズミさんも心配されたでしょうね。
とういうことは、次のカテまでずっと入院している状態なのでしょうか。
焦ってしまうお気持ち、とてもよくわかります。
けんちゃんもグレン前のカテにのぞむときには「グレンできるか、もう1回シャント手術をすることになるか、ビミョー」と言われていて、とてもやきもきさせられましたもの。
良い結果がでますように。

今年も頑張りましょう!
by: てん * 2008/01/05 23:57 * URL [ 編集 ] | page top
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