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フォンタン手術について③ フォンタン循環とは
2008 / 01 / 29 ( Tue )
はじめて「フォンタン手術」に関する説明を聞いたのが一昨年の7月末。
けんちゃんはまだお腹の中にいた。
新生児科のK医師の説明を一通り聞き終えて、夫と二人っきりになって聞いた話を頭の中で反芻しながら
「ねぇ、あんな循環で本当に血がちゃんと流れるのかな」とつぶやくと
「そういう方法の手術があって実績もあがっているってことは大丈夫なんじゃね?」と言われた。
「・・・・・うん、そうだよね。そのはずだよね」と答えながらも、やっぱり不思議でしょうがなかった。

フォンタン手術について勉強する中で、やっぱりフォンタン循環はそんなに簡単なものではないことを知った。
それでも大丈夫。フォンタン循環に不具合が生じたときには先生が何とでもしてくれる。とも思っている。
あと10年、20年たてば別の方法もあるだろうとも思う。
でも、フォンタン循環について、しっかりとした知識を身に付けておきたい。

というわけで、今回は「フォンタン循環」について。
まだフォンタン手術を終えていない時点でこの記事を書くのはためらわれたけれど、時間のあるうちに。
(私自身まだまだ理解しきれていない部分が多いので、ちょっと難しくてしかも誤った認識もまざっている恐れがあります。御承知おきください。
今後、手術を無事に乗り越えて先へ進んでいく中で、執刀医や主治医の話を聞きながら「なるほど、あれはこういうことだったのか」とより明快な理解にいたることがあれば、その都度加筆修正を加えてわかりやすくしていこうと思っています)


正常な心臓では、右心室は肺に向かって血液を流し、左心室は体に向かって血液を流している。
フォンタン循環では心室がひとつとなり、そのひとつの心室は肺から戻ってきた血液を全身へ流すこととなる。
肺循環に関しては心室を介さずに上大静脈と下大静脈は直接肺動脈につながっている。
静脈系は心室という駆動ポンプが無いため、だらだらとした一定速度の流れとなり、その血流は中心静脈圧と左房圧との圧差によって維持されている。
この圧差を「transpulmonary gradient」という。
一般的にフォンタン循環での中心静脈圧は10~18?Hg、左房圧は5~10?Hgでtranspulmonary gradientは約5~10?Hgということになる。
この圧差を維持し、肺血管抵抗の上昇を防いでいくことが、良好なフォンタン循環を保つカギとなる。

フォンタン循環に悪影響を及ぼす要因
?下大静脈と外導管(人工血管)との吻合部の狭窄
?肺動脈と上大静脈の吻合部(グレン吻合)や肺動脈と外導管吻合部の狭窄
?肺血管抵抗の上昇・陽圧呼吸
?肺静脈狭窄・外導管による肺静脈圧迫
?弁逆流
?心室機能の低下
?流出路の狭窄(この場合は大動脈をさす)
これらどれかひとつでも当てはまるだけで、フォンタン循環に悪影響を及ぼす。
?~?の場合は中心静脈圧のみが上昇、?~?の場合は左房圧と中心静脈圧の両方が上昇する。

?の「外導管による肺静脈圧迫」はあまり知られていないが、実際に人工血管が肺静脈を前面から圧迫して肺血流を阻害する場合があるらしい。

?の「陽圧呼吸」とは、長時間いきんで息を止めていたり、水にもぐっていたりして胸腔の内圧が高くなることをさす。
人工呼吸器による陽圧換気もこれにあたる。
フォンタン循環においては、陽圧呼吸時に肺血流が妨げられて循環がうまくいかないだけでなく、逆流が観察されることもある。
自発呼吸は「陰圧」なので肺血流が増加するということとあわせて考えると、フォンタン手術後は人工呼吸器からの早期離脱が望ましい。
(陽圧換気・陰圧換気についてはグレン手術直後の様子を綴ったこちらの記事→click! でもチラっと言及しています。フォンタンでもまたA医師に「息できるならしてみろ」っていうスパルタなこと言われちゃうかしら?^^;)

左房圧が上昇するとフォンタン循環が破綻してしまうため、これらの危険因子に常に注意を払う必要がある。
不整脈にも注意を払う必要がある。
(フォンタン手術後の不整脈に関しては、また別の機会に詳しく記事にしようと思っています)

フォンタン循環の特異性としてあげられるのが、術前と比較して心前負荷の減少(「前負荷」とは心臓が収縮する直前にかかる負荷)・心後負荷の増加(「後負荷」とは心臓が収縮を開始した直後にかかる負荷)・中心静脈圧の上昇循環血液量の減少
正常な心臓では、前負荷が大きければ大きいほど心室に流入する血液量が増え、それと連動して後負荷も増大して駆出量も増えることとなる。
拡張する力が強いと収縮する力もまた強くなる。

フォンタン循環では体静脈系の圧が上昇して血流のうっ滞が生じるために前負荷が減少する。
前負荷の減少はすなわち駆出量の低下を招き、全身を循環する血液の量も減少することとなる。
ではなぜ後負荷は増大しているのか?
それは、肺循環と体循環が直列となって連続しており血管抵抗が増すため、より大きな力で血液を送り出さなければならないから。

この前負荷と後負荷のミスマッチがフォンタン循環での心臓の仕事量の低下(運動能の低下)の要因と考えられている。
フォンタン手術後は術前と比べると運動許容量がはるかに改善することになるが、それでも心拍数増加不良と一回心拍出量増加不良のため、正常な心臓と比較すると運動許容量は低いままである。
わかりやすくいうと、フォンタンハートはやっぱり効率が悪いってことだ。
だから、マラソンは禁止なんだよね。

小難しいことを書いてきたけれど、このあたりのこと、O大のS教授は守る会の講演(→click!)でとてもわかりやすい言葉で簡潔に説明してくれている。
「唯一の心室は全身に血液を流す方(体血流路)に使いますから、肺への血流路にはポンプである心室はなく、肺血流は中心静脈圧と左房圧との差により維持されます。また呼吸をすることによって、胸腔内圧が陰性になり、それにより静脈の血液を吸い込むということで、心室の代わりをします。すなわちフォンタン手術は解剖学的な修復というより、生理学的な修復となります。私はフォンタン手術後の子ども達は、原則的には競泳を禁止しています。それは水泳時、長期間顔をつけるとそれは息をしないことであり、息をしないと胸腔内圧が陽性になり肺に血液がいかない。ですからフォンタン手術後の子どもは死んでしまうからです。またフォンタン手術後の子ども達は、静脈圧は普通の子どもよりも少し高めなので、潜在的に右心不全を持っています。フォンタン手術の利点は、チアノーゼが無くなる、低酸素による運動制限が軽減されることなどです。欠点は、肺に血液を送る心室がない、肺に血液が流れやすい条件が必要となる。そのため手術適応に限界がありますし、フォンタン手術をする前に、条件面での正確な評価と判定が必要になります」

きっとこれで十分なのだろう。
S教授、さすがだ。 


<参考文献>
『心臓外科手術と経食道心エコー』(野村実・溝部俊樹/監修 克誠堂出版)
『ネッター心臓病アトラス』(永井良三・今井靖/監訳 南江堂)
「心室血管整合関係からみたフォンタン術後の循環生理」
http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol28/03/t51_57.pdf

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コメント
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by: * 2008/07/25 01:49 * [ 編集 ] | page top
--とりちなさんへ--

ブログ拝見しました。
(実は以前私も検索から訪問させてもらったことがあります!)
来週、頑張ってください。応援しています。
by: てん * 2008/07/26 00:22 * URL [ 編集 ] | page top
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