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フォンタン手術後の諸問題について
2008 / 08 / 02 ( Sat )
ずっとこの記事を書くか書くまいか迷っていて(不安になる人も多いだろうから)、それでもやっぱり知りたい人もいるだろうから、自分が勉強したことを覚書としてここに残しておこうと思う。
あくまで参考程度になさってください。


「フォンタン循環」は非生理的な循環であるがゆえに術後の年数が経過すればするほどさまざまな問題が生じてくると言われている。
フォンタン手術が「根治手術」「機能的根治手術」と言われる一方で、「所詮、姑息手技でしかない」と言い切る医師がいるのもこのためだし、「フォンタン後」が小児慢性特定疾患の助成対象や身体障害者の対象でありつづけているのもこのため。
(ただし、元気すぎると認定から外れることもある。喜ばしいことではあるが)

具体的にどのような問題が起こりうるのかを簡単に説明しておくと

【心不全・心機能の低下】

NYHA分類からみると、フォンタン手術前は患者さんの8割以上が?度に分類されているのに対し、フォンタン手術後1年では?度が約35%、?度が60%弱となる(ちなみにけんちゃんは現在?度)。
つまり心機能が改善されたことを示している。
それが術後10年では?度が約10%、?度が約80%となり、20年後には?度はゼロ、?度が40%弱、?度が60%強と術後の年数が経過するに連れてNYHA分類が悪化してくるという報告がある。
(NYHAについては、「NYHAとは」の記事参照→click!
心機能の悪化は、むくみ・不整脈・弁逆流の原因にもなる。

【不整脈】

上室性頻脈・洞機能不全・房室ブロック・心室性頻拍などの恐れがある。
その原因は、手術の際に心房や洞結節、その付近をいじったり縫合したりしたためだったり、外導管(人工血管)が洞結節のある右房を圧迫したためだったり、右房圧の上昇によるものだったり、心機能が低下して心筋の収縮拡張障害が起きているためだったり、無脾症や多脾症のようにもともとの心臓の形状が不整脈を起こしやすいものだったりとさまざま。
一般的に「APCよりもTCPCのほうが不整脈の発生率が低い」と言われているが、報告によってかなりのバラつきがあり、術後10年での不整脈の頻度を「APCが40%、TCPCが14%」としている論文もあれば「APCが7%、TCPCが18%」としている論文も・・・。
投薬やカテーテル治療(TCPCに関しては術後のカテーテルアブレーションは不可能とも言われているが、そういうわけでもないらしい。でもかなりリスクが高いとも・・・)によっても改善されない場合はペースメーカーを植え込むことになる。

【弁逆流】

まず内科的な治療として投薬(利尿剤やACE阻害剤など)を行い、それでも改善されない場合は外科的治療として弁形成手術、弁輪縫縮手術、人工弁置換手術などを行うこととなる。
(海外では、フォンタン後の高度な弁逆流は心臓移植の対象となるらしい)

【血栓塞栓症】

血栓による塞栓症での死亡率は小児では最大25%、成人では38%という報告がある。
こちらも発生頻度の報告にかなりのバラつきがあって、「術後2年~15年の患者を対象に検査した結果、8.8%に血栓を認めた」とか「フォンタン術後の2.6%に脳卒中を起こしたという報告がある」とか、いろいろ。
人工血管の使用不使用にかかわらず、フォンタン循環では凝固異常が存在するという報告もあり(これに関する詳細は長くなるのでまた別途記事にする予定)術式に関係なく何らかの抗凝固療法が必要。

【蛋白漏出性胃腸症(PLE)】

発生頻度は約4~13%。
慢性的な静脈圧上昇により腹部のリンパ管が拡張し消化管からアルブミン・蛋白・リンパ球・免疫グロブリンが漏出する。
症状は、腹水・胸水・心嚢液貯留・むくみ・慢性的な下痢など。
静脈圧が低い場合でも発症することがあり、局所の炎症や免疫機構の関与も示唆されている。
治療法・予防法はまだ試行錯誤の段階。

【肝機能障害】

フォンタン循環では肝静脈が慢性的にうっ血しており、約半数に肝臓逸脱酵素の上昇やビルビリン値、γ-GTP値などに異常がみられる。

【肺動静脈瘻(はいどうじょうみゃくろう)】

「肺内シャント」とも言う。
肺内の動脈-静脈間に毛細血管を介さない異常短絡路が出来てしまうこと。 
肺動静脈瘻があると酸素化されないまま肺を素通りする血流が増えるため、チアノーゼが増強する。
肝静脈からの血流が肺に流れないために生じることが多く(肝臓で生成される物質が肺に流入しないとできやすいらしい)、肝静脈血流を左右の肺に均等に流すようにしなければならない。
フォンタン手術後よりも、グレン手術後~フォンタン手術までの間にできることが多い。(グレン循環では下大動脈が肺動脈ではなく心臓につながったままなので、肝臓からの血流が肺に流れないため)


フォンタン手術後遠隔期における死亡原因のトップは突然死
と以前チラっと記事にしたことがあるけれど、その原因はさまざまで「高度の不整脈」「心機能の低下」「血栓塞栓症」「蛋白漏出性胃腸症」「肝機能障害による食道静脈瘤の破裂」などなど。原因不明の場合もある。
突然死の原因のうちの半数が心房粗動や心室性頻拍の既往がある。
術前の肺動脈圧が20mmHg以上、手術の際の人工心肺使用時間が4時間以上、大動脈遮断時間が70分以上の場合も、術後早期だけでなく遠隔期においての死亡原因となるらしい。

ちなみに、けんちゃんがお世話になっている病院における1997年~2004年の7年間の調査では、15歳以上の患者さんのフォンタン手術後の死亡例の死因は、肺血栓が1例、再手術によるものが1例、心不全が2例、突然死が2例となっていた。

これらのデータはさまざまな術式のフォンタン手術後のデータをひっくるめたものなので、今主流となっている人工血管を用いた心外導管法のみの長期予後や合併症のデータではありません。
心外導管法が行われるようになってまだ10年そこそこだからね。
この術式での長期予後は、けんちゃんたちが身を持って証明していくことになるのだろう。



参考文献:
『小児科診療 2007 vol.70 No.2』「Fontan手術後の長期予後」(森善樹)
『Annual Review 循環器 2001』「Fontan循環」(近藤千里)
『Annual Review 循環器2001』「先天性心疾患手術後遠隔期の不整脈」(長嶋正實)
『Annual Review 循環器2002』「Fontan型手術の長期成績」(前田克英 村上新)
『循環器疾患最新の治療2008-2009』「成人における先天性心疾患術後例の管理」(住友直方)
『心臓をまもる 第531号』「心臓病児のからだと心の成長」(康井制洋)

http://city.kagoshima.med.or.jp/ihou/561/561-5.htm
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01 : 47 : 22 | 病気の説明 | トラックバック(0) | コメント(18) | page top
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コメント
--No title--

突然死なんて想像もしたくないね。
そんな切ないことは勘弁して~と思うわ。

ところで、けんちゃんの病院は院長が変わった?
それと同時に変わったことってある?
by: くるみん * 2008/08/02 16:19 * URL [ 編集 ] | page top
--くるみんさんへ--

親としてはね、これから先も激しい運動はしてほしくないと思うんだけど、男の子だしねぇ・・・
いかにいい状態を保っていくか、だよね。

院長先生?康井先生のままだと思うけど、かわったの??
病院の組織構成だと、院長の上にさらに「所長」というポストもあって、それは別の先生だから、その人のことかしら?
ただね、県としては採算のあわない県立病院を民営化しようという動きがあって、うちの病院もその対象になっているんだよね。
でも民営化されたら今のレベルを保つことは不可能だろうから、それが心配なんだ。
そうなったら今度こそみーたんの病院に移るかも~。
by: てん * 2008/08/02 17:34 * URL [ 編集 ] | page top
--No title--

フォンタン、日が浅いだけに、まだまだ奥が深いですね。。。
突然死なんて怖すぎますね。
みんながフォンタンまでせっかく頑張ってきてるんだもん。
何事もなく、楽しい人生が送れるといいですよね。
どんどん改良されてきてるわけだし、この子たちのことも資料となり、もっともっといい予後がおくれるようになるといいね。
by: まぁちん * 2008/08/02 19:23 * URL [ 編集 ] | page top
--No title--

読みながら、お腹痛くなってきてしまいました(*_*;
これからも色んなこと覚悟して生活して行かなきゃなんだってこと、ここのところの平穏な日々?で意識が薄れてたかも。うちはまだフォンタン終わってないのにね…。
でも、子供たちの生命力は強い!!って信じて頑張らなくてはね。

by: sachikun * 2008/08/02 23:22 * URL [ 編集 ] | page top
--まぁちんさんへ--

医学は日々進歩しているもんね。
だから、これから先何かあったってきっと大丈夫!と楽観的に思う自分もいるし、その一方で、後悔しないように日々生活していこうと戒める自分もいるし。
みんなの希望となれますように♪
by: てん * 2008/08/03 00:56 * URL [ 編集 ] | page top
--sachikunさんへ--

あはは、脅すような内容でゴメンね^^;
将来、普通に生活して、それなりに長生きして「フォンタンハートでもこんなに元気なんだ」っていうみんなの姿を見られるといいなぁ。
ただ、けんちゃんたちが大人になる頃には、また別の治療方法があみだされていて「フォンタンなんて古い!」って言われてるかもね~(笑)
by: てん * 2008/08/03 01:00 * URL [ 編集 ] | page top
--我が子も先天性でした--

娘も生まれて2ヶ月でフォンタン対象だとわかりました。(T T) 重篤だそうです。セカンドオピニオンは何処の病院が良いでしょうか?長野県在住です。
by: kei * 2009/05/10 02:05 * URL [ 編集 ] | page top
--keiさんへ--

今はただただ、戸惑われていらっしゃることでしょうね。
長野にお住まいということは、長野のこども病院にかかってらっしゃるのでしょうか?
長野のこども病院はセカンド先としても有名ですし、フォンタンを受ける子もたくさんいますよ。
あと先天性心疾患のセカンド先として有名なのは、東京の榊原記念病院・静岡県立こども病院・岡山大学・福岡市立こども病院あたりでしょうか。
ちなみにうちの子がお世話になっているのは、神奈川県立こども医療センターです。
by: てん * 2009/05/10 11:05 * URL [ 編集 ] | page top
--管理人のみ閲覧できます--

このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * 2010/01/28 13:51 * [ 編集 ] | page top
--秘密のコメントさま--

メールアドレス等の書き込みがなかったので、こちらでお返事してもよかったでしょうか?

それだけ病名が並んでいること、そしてフォンタンを目指す病気であるということから、おそらく十分「重症」だと思われます^^;
その境目は何なんでしょうね?たしかに。
うちの場合は最初から「重症心疾患」であると医師から言われていたので「そうなんだ、重症なんだ~」と思っていましたが^^;
でも、主治医の先生が話しやすい方なら思い切って聞いてみるのもいいですよ。
そういう「いまさら」って感じの質問にもきちんと答えてくれると思います。
by: てん * 2010/01/28 14:08 * URL [ 編集 ] | page top
--管理人のみ閲覧できます--

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by: * 2010/01/28 14:16 * [ 編集 ] | page top
--管理人のみ閲覧できます--

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by: * 2010/01/29 13:03 * [ 編集 ] | page top
--管理人のみ閲覧できます--

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by: * 2012/12/09 03:52 * [ 編集 ] | page top
--ケンタさんへ--

コメントありがとうございました。
メールを送っておきました。
もしなかなか届かなければ、迷惑メールフォルダに振り分けられているかもしれないので、ご確認ください。
by: てん * 2012/12/09 15:50 * URL [ 編集 ] | page top
--セカンドオピニオン--

今晩は!てんさん。。。セカンドオピニオンしました!まずセカンドオピニオンに関して率直な感想は、何件かすればするほど迷う?のかな?でした。私共は、2つの病院を選びセカンドオピニオンをしました。一つは最初にお世話になってた病院とは違う見解。そして、もう一つの病院は全く同じ意見でした。結局決め手になったのは、対応が一番早い病院を選択した事です。あとは、目の前で画像を見ながら確認してくれた!ことでしょうか?まだまだ勉強不足ですが、とにかく受身の態勢ではなく、自分の子供の病気の事ですので、勉強して医師たちと面会する事が大事なんだと感じました。セカンドオピニオンのアクションをとってから15日間で転院できた事、正直いって期待していなかった分今の病院に感謝してます。2度目のBTシャントを予定してたのですが、両方向性グレン手術と右室拡大術をする事になりました。手術はこれからの予定ですが、信頼できる医師と出会えたのでセカンドオピニオンを思い切ってして良かったと確信してます。
by: ケンタ * 2013/01/20 22:25 * URL [ 編集 ] | page top
--ケンタさんへ--

お忙しい中コメントありがとうございます!

ケンタさんのこのセカンドのご経験を今後参考にされる方もいらっしゃると思います。
書き込みありがとうございました♪
by: てん * 2013/01/21 13:30 * URL [ 編集 ] | page top
--セカンドオピニオン 養育医療 再申請--

今晩は!セカンドオピニオンをして転院後、養育医療の再申請が必要です!私のケースでは、養育医療は最初の病院で申請済みで、受領済みでしたが、転院するときにその病院の追加意見書が必要だったので、取得しておきました。新たに提出する書類は 養育医療申請書;意見書(転院先)追加意見書(転院前)移送承認申請書(転院前の病院の救急車を使用したので必要ありませんでした。)とプチ情報でした!
by: ケンタ * 2013/01/30 23:42 * URL [ 編集 ] | page top
--ケンタさんへ--

貴重な情報ありがとうございます!

転院の際にはいろいろな手続きが必要となりますよね。
私もお引越しで転院したときに、障害者認定の異動届や小児慢性特定疾患の手続など、あれやこれやありました。
by: てん * 2013/01/31 01:39 * URL [ 編集 ] | page top
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